プリンス・エドワード・カウンティの生産者
産地情報
プリンスエドワード・カウンティ(PEC)は、オンタリオの最も新しいVQA産地(2007年)で、またオンタリオで最も北に位置するワイン産地です。 トロントからオンタリオ湖沿いに東に200㎞ほどのところにある、オンタリオ湖東側の北岸に突き出た島のような地形で、地元では「(ザ)カウンティ」と略して呼ばれます。 PECは冬が厳しいためブドウ栽培は容易ではありませんが、ワイン造りに適した上質な土壌に恵まれていることから、この地でワイン造りをする生産者が年々増えてきています。
PECはのどかな田園地帯で、中心の街ピクトンも人口4000名ほどの規模。日本人観光客にとってはあまりなじみのない土地ですが、ワイナリーの他にオーガニック農園やチーズ工房ができたり、ローカル食材を活かしたレストランやカフェ、こだわりのグルメショップがオープンしたりして、カナダ有数のグルメエリアとして近年注目を集めています。芸術家も多く住み、ピクトンの中心にある50mほどのメインストリートには、シアターやアトリエ、小さなブティックショップなども並びます。 (ちなみに、日本人にもよく知られている”赤毛のアン”の舞台「プリンスエドワード島(PEI)」と混同される方もいらっしゃいますが、PEIは同じカナダでも東海岸の大西洋側にある島で、五大湖の一つオンタリオ湖に隣接する「カウンティ」とは異なる場所です)
プリンスエドワード・カウンティのテロワール
PECの特徴は、なんと言ってもその土壌。ミネラル分の多い頁岩を含む石灰岩の豊富な岩盤に、水はけを良くする砂利を多く含む、ワイン造りに非常に適した土壌で構成されます。ワインスペクテーター誌のマット・クレイマー氏は、PECの土壌を「まるでシャブリの生き別れの兄弟を見つけたようだ」と表現しています(文末参照)。
春から秋にかけては、南側に面するオンタリオ湖の影響を受けマイルドな気候です。冬は厳しく、北からの風が直接吹き付ける地形のため、マイナス30℃を下回る日もあるほど気温が下がります。ブドウの木が越冬できない寒さなので、PECの造り手は、毎年冬になる前に木を一つ一つ地下に埋めることで、ブドウの木を越冬させ、春になると掘り起こしています(したがって、冬は木は常に土の中ですので、PECでは今のところアイスワインは造られていません。アイスワインを造るには寒すぎる土地!なのです)。
このように手間のかかる気候条件ながら、ワイン造りに適した土壌に惹かれ、本格的なシャルドネやピノノワール造りを志向するワイナリーが増えています。 PECの代表的な造り手の一人ノーマン・ハーディ氏は、「フランス・ローヌ産の上等なシラーが北よりの産地から造られるように、ブドウが育つことのできるギリギリの環境こそが、ブドウの質をさらに向上させる」と考えており、PECは彼の理想とするワイン造りにとって、まさに理想の地なのだそうです。
プリンスエドワード・カウンティ産ワインの主要品種
ブルゴーニュ地方に似たテロワールと育成期の気候を活かし、ブルゴーニュ品種であるシャルドネやピノノワールを中心に栽培されています。 また、冷涼気候を活かした、上質なスパークリングワインも造られています。
プリンスエドワード・カウンティについてのマット・クレイマー氏の評
(”My wines of the year"「ワインスペクテーター」誌 2011年12月31日号 より抜粋・参考訳)
「1990年代初頭から何度かオンタリオのワイン生産者を訪ねているが、今年は、オンタリオで最も知られていないと言ってほぼ間違いなく、また最も極端な場所にあるプリンスエドワード・カウンティに足を運んだ。ナイアガラよりもさらに冷涼で、オンタリオのどこよりも石灰岩の多い土地。まるで(フランス)シャブリの兄弟が、遠い昔生き別れになった後カナダに移住していて、今まで一切音信不通になっていたのを、今初めて聞いたようだ。 この土地にわざわざ足を運ばせたのは、1990年代初頭に開拓された名祖である小さな畑から造られる、ノーマン・ハーディ氏のワイン。この畑で育てられたブドウで造られるハーディ氏のシャルドネは、酸味とミネラル味によってレーザー線でエッチングされるような風味、そしてかつて私たち誰もがブルゴーニュでしか作ることが不可能と考えていたような類のオリジナリティをもっている。」
ワイナリーリスト

クロッソン チェース ヴィンヤーズ
クロッソン チェース ヴィンヤーズは、プリンスエドワード・カウンティ地方のワイン産業の黎明期から、先陣として産業を支援してきたワイナリー。1999年に生産を開始して以来、世界最高レベルのワインに匹敵するような品質重視のワイン造りを目指し、尽力しています。 南向きの30エーカーの畑は、石灰岩豊かな土壌。ブルゴーニュ品種のシャルドネやピノノワールを高密度に植樹し、ローイールドで栽培。フランス流の醸造法を実践し、100%フレンチオークを使用して樽熟成しています。 メディア掲載 雑誌『Madame FIGARO』で、クロッソン チェース ヴィンヤーズが紹介されました! 「カナダ国内でも超希少! 上質なカナダ産ワインに開眼」https://madamefigaro.jp ...
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ノーマンハーディ ワイナリー&ヴィンヤード
“プリンスエドワード・カウンティの天才ワインメーカー”とも呼ばれる、ノーマン・ハーディ氏が経営するワイナリー。特に評価の高いシャルドネやピノノワールをはじめ、上質なカベルネフラン、ピノグリ、リースリング等を造ることで知られています。 近年、国際的にますます注目を集めており、特に「カウンティ・シャルドネ」(プリンスエドワード・カウンティ産シャルドネ)の2008年ヴィンテージが、ワインスペクテーター誌上で、マット・クレイマー氏の「今年のベストワイン(My Wines of the Year)」3本のうちの1本に選ばれたほか、2010年ヴィンテージが、イギリスのワイン専門誌「The World of Fine Wine」誌によって、カリフォルニア等の早々たる ...
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