ケベック州の生産者
ケベックは、フランス移民の影響でワイン消費の多い土地で、また古くからブドウが自生していたことでも知られています。
ケベックでのワイン生産は、厳しい冬や春先の凍害、収穫時期が早いこと等が難しい点としてあげられますが、近年ワイン産業が著しく成長しています。
マレシャル・フォーシュ、フロンテナック、ドゥ・ショナック、ヴィダル、セイベル・ブランを中心に、赤・白計40種ほどの品種が栽培されています。
- 緯度: 北緯 45-47°
- ブドウ作付面積: 1,915エーカー(775ヘクタール)
- ワイナリー数:125
州南部のセントローレンス川渓谷地方は、野生種のブドウやその他のフルーツが自然によく育つ肥沃な場所ですが、湿気が高く長い冬が土壌を凍結させてしまうため、ヨーロッパ品種のほとんどが越冬することができません。
1980年代に入り、ケベックのワイン生産者は零度以下でも育つ品種を栽培しはじめたり、一部では冬の寒さが厳しい時期に土壌を暖める近代的な技術の導入を試みたりしています。
ケベックのブドウの育成期は短く、温暖な地域の生産者が約12ヶ月かけて行うことを、ケベックではおよそ6ヶ月間のうちに実践しているといいます。
ケベック州では、主に以下の6つの地域で、ブドウ栽培が行われています。
- イースタン・タウンシップス(Eastern Townships)
- モンテレジー(Monteregie)
- ケベック(Quebec)
- バス ローランティッド(Basses Laurentides)
- ラノディエール(Lanaudiere)
- センター・デュ・ケベック(Centre-du-Quebec)
■ケベックでのブドウ栽培・ワイン産業の変遷
ケベックには以前からブドウが自生していたことが分かっており、1535年にフランス人探検家ジャック・カルティエ(Jacques Cartier)氏が、ケベックシティの東、セントローレンス川に浮かぶオルレアン島(Ile d'Orleans)に辿り着いたときに、野生のブドウが豊富に生育していることから、ローマのワインの神にちなみ「バッカスの島」と名づけたという逸話も残っています。
ケベック植民地の基礎を築いたサミュエル・ド・シャンプラン(Samuel de Champlain) が、1608年に後のケベックシティとして栄える地に入植した際に、フランス種のブドウ栽培を試みましたが、越冬させることが難しいことがわかりました。
その後18世紀までにわたり、小規模に生産が試みられましたが、主に野生種のブドウやその他のフルーツからワインを造っていました。
ただ、ケベック産ワインの生産量は少ないながらも、フランス移民が多かったことから、フランスからのワイン輸入量は非常に多く、ケベクワ(ケベックの人々)にとってワインは当時より生活の中で欠かせない存在だったようです。
1760年に英国軍によってフランス領カナダが占領されると、英国の植民地政策の方針に従い、フランス産ワインの輸入は急速に減少しました。その代わり、ウイスキーやジン、ラム等のスピリッツ類が多く消費されるようになり、その傾向はカナダ・フランス間の貿易関係が復活する19世紀後半まで続きました。
1864年、ケベック州政府は当時衰退していたワイン産業の奨励政策を実施し、野生種のブドウだけでなく、米国産のハイブリッド品種の栽培も推進しましたが、米国やカナダでの禁酒法の影響もあり、苦戦したようです。
禁酒法にはケベック州民の80%以上が反対したしたそうですが、それでも禁酒法が強行的に施行。ただ、直後にケベックで住民投票が実施され、ビールやワイン、サイダーが適用外となり、ケベックは北米で唯一、完全な禁酒法を逃れた地方となりました。
ワイナリーリスト

リヴィエール デュ シェーヌ
ケベック州 サン=テュスタシュ(モントリオール北西)に位置。1998年にDaniel Lalandeが設立した、家族経営の醸造元。 現在、20ヘクタールの畑を有し、フロンテナック・グリ、ヴィダル、ヴァンダル・クリシェ、マレシャル・フォーシュなどのハイブリッド品種を中心に栽培。年間11,500ケースのワインを生産しており、ケベック産ワイン業界を牽引するリーダーとして知られています。ケベックの伝統、気 ...
詳細を読む